OMOとは?オムニチャネル・O2Oとの違いや、成功事例、注目される背景を徹底解説!
近年、消費者の消費価値が「モノ」から「コト」にシフトしている傾向が見られています。
このような状況から、アパレル業界を中心に顧客体験を高められる施策として「OMO(Online Merges with Offline)」という新たなマーケティング戦略が注目を集めています。
とはいえ、「OMOというワードを最近よく耳にするけど、あまり理解できていない」などのお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、O2Oやオムニチャネルとの違い、OMO施策を実施するメリット、アパレル業界での導入事例など、OMOについて徹底的に解説します。
「新たな戦略として、OMOについて理解を深めたい」「自社での実施を検討しているため、事例を知りたい」などとお考えの方は、効果的なマーケティング戦略に是非お役立てください。
目次[非表示]
- 1.OMOとは?
- 1.1.O2Oとの違い
- 1.2.オムニチャネルとの違い
- 2.OMOが注目される背景
- 2.1.デジタル技術の進歩
- 2.2.消費者の価値観の変化
- 3.OMOのメリット
- 3.1.販売機会の損失を抑える
- 3.2.顧客の真のニーズを把握できる
- 3.3.リピーターの増加
- 4.OMOの事例
- 4.1.LaLaport CLOSET(ららぽーとクローゼット)
- 4.2.ZOZOMO(ゾゾモ)
- 4.3.ドットエスティストア
- 5.まとめ
OMOとは?
OMOとは「Online Merges with Offline」の略称で、「オンラインとオフラインの融合」を意味します。
オンライン(ECサイトなど)とオフライン(実店舗)の垣根を無くすことで、顧客の利便性向上や購買意欲を促す、新たなマーケティング戦略です。
施策例としては、D2Cブランドのポップアップストア展開や、ECモールのショールーミングストアなどがあります。
OMO施策を実施することで、顧客は時間や場所にとらわれず、商品やサービスを購入できることから、顧客満足度が向上し、リピーター増加や売上拡大が期待できます。
O2Oとの違い
O2Oとは「Online to Offline」の略称で、ECサイトやSNSなど、オンラインで情報を拡散し、集めた見込み客をオフライン(実店舗)へ送客して、購買を促す施策のことをいいます。
例えば、ブランドの公式SNS上で、フォロワーに対して来店時に使えるクーポンを発行するなどの施策があります。
オンラインとオフラインが融合しているOMOに対し、O2Oではオンラインとオフラインを区別して考えられていることが特徴です。
オムニチャネルとの違い
オムニチャネルとは、店舗やECサイト、アプリやコールセンターなど、あらゆる販売経路で顧客との接点を持ち、一貫性のあるサービスの提供を目的とする施策です。
O2Oと同様にオンラインとオフラインを区別している点のほか、「顧客視点の戦略」として考えられたOMOに対し、オムニチャネルは「企業視点の戦略」であることが大きな違いです。
OMOが注目される背景
デジタル技術の進歩
ECサイトの普及や、キャッシュレス決済など、買い物の場でもデジタル技術の活用が一般化しています。
近年ではデジタル技術の進歩により、店舗での顧客行動を分析するセンサーなど、オフラインでの行動データをオンラインの情報資産として収集することも可能となりました。
オンラインとオフラインの境界が曖昧になっていきていることから、垣根を超えてアプローチするOMOが注目されるようになりました。
消費者の価値観の変化
ECサイトの普及により、消費者は場所や時間を問わず、自由に買い物ができるようになりました。
一方で、消費者は物理的な価格や機能のみでは満足できなくなっている傾向にあります。
消費者の消費価値が「モノ」から「コト」へと変化していることに着目し、高揚感や満足感を得られる買い物体験を提供することが重視されるようになりました。
マーケティングにおけるゴールも、商品購入ではなく、商品購入後のアフターフォローまでを見据えた設計が不可欠となっています。
OMOのメリット
販売機会の損失を抑える
OMOは、オフラインとオンラインの両方で顧客との接点を持つことが可能となるため、販売機会の損失を抑えられるというメリットがあります。
顧客にオフラインとオンラインの垣根を意識せずに商品を購入してもらうことを前提としている施策であるため、顧客の購買意欲が高まったタイミングでオフラインまたはオンラインのどちらかで商品を購入してもらうことが可能になります。
ECサイトの普及により、他社との差別化が難しくなっている現在、機会損失を最小化できる点は大きなメリットと言えます。
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顧客の真のニーズを把握できる
販売チャネルをいくら増やしても、顧客のニーズを理解していなければ、購入してもらうことは難しいでしょう。
OMOでは双方で得た情報をデータとして活用できるため、「顧客が本当に求めているもの」を明確にし、実店舗とECサイトの両方を同時にバージョンアップさせていくことが可能になります。
オフラインとオンラインの双方で集めた顧客行動のデータを解析することで、真のニーズを得られる点はOMOの最大のメリットと言えるでしょう。
リピーターの増加
冒頭でも述べた通り、OMOは「顧客視点」の施策となります。
そのため、顧客満足度によるリピーターの獲得が期待できます。
OMO施策により顧客が買い物で感じているペインポイントを解消することで、顧客により良い買い物体験を提供することが可能となります。
また、デジタル技術を活用して、今までの売り場にはなかった新しい体験を創出することで、高揚感を与え、選ばれる店舗をつくりあげることができます。
OMOの事例
LaLaport CLOSET(ららぽーとクローゼット)
三井不動産は新業態のOMO型店舗として、ららぽーとTOKYO-BAYに「LaLaport CLOSET(ららぽーとクローゼット)」を出店しました。
LaLaport CLOSETでは、ららぽーと公式通販サイト「&mall(アンドモール)」で販売している商品を店舗で試着し、気に入った商品をオンラインにて購入することができます。
衣料品の販売のみならず、全身のサイズを無料で計測できる3Dボディスキャナーや、カフェラウンジなどの多様なサービスを併設しており、新たな利用体験を提供することで顧客満足度を高めています。
複数の人気ブランドのアイテムをまとめて試着できることから、お子様連れのお客様を中心に、家族で買い物が楽しめる話題のスポットとなっています。
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ZOZOMO(ゾゾモ)
大手ファッション通販サイトのZOZOTOWNは、オンラインとオフラインをシームレスにつなぎ、ブランド実店舗の売上を支援するために、「ZOZOMO(ゾゾモ)」というOMOプラットフォームを開設しました。
ZOZOMOでは、以下の3つの機能を活用して、実店舗の売上をサポートしています。
①ZOZOTOWN上での「ブランド実店舗の在庫確認・在庫取り置き」
②販売サポートツール「FAANS」でショップスタッフと顧客の新たな接点を創出
③ブランドECサイトとZOZOTOWNの在庫をシェアリング
従来のファッションを「買う」ならZOZOから、ファッションの「こと」ならZOZOへのシフトを目指す新たな取り組みとなっています。
ドットエスティストア
人気ブランドを多く展開している株式会社アダストリアは、オンラインストアの「.ST(ドットエスティ)」からOMO型店舗の「ドットエスティストア」をオープンしました。
店内に設置されているデジタルサイネージでは、人気スタイルコンテンツの「STAFF BOARD」と連動してブランドミックスしたコーディネートを紹介するなど、顧客がオンラインストアで商品を選ぶような感覚でスタイリングを見れるよう工夫されています。
また、ミラー型のサイネージを使用して、パーソナルスタイリングを展開するなどデジタル技術を活用したオフラインストアとして注目を集めています。
まとめ
今回は、アパレル業界を中心に注目を集めているOMOについて、O2Oやオムニチャネルとの違いや、OMO施策を導入するメリット、事例などを徹底的に解説しました。
OMOは、新たな顧客体験を創出することで顧客満足度を高められるほか、売上の向上やブランド認知度の向上につながるなど、様々な効果が期待できます。
とはいえ、「OMO施策の実施は初めての取り組みで、自社のみで始動できるか不安」となかなか実施に踏み込めない企業様も多いのではないでしょうか。
エス・グルーヴは、OMO施策の導入サポートのみならず、「新しいチャレンジをサポートしてくれる企業を探している」というお悩みを抱えている企業様のために、ファッションビジネスコンサルティング事業を展開しております。
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